2005年09月12日

高槻市無防備平和都市条例(案)

  • (前文)
     わたしたち高槻市民は、世界の恒久平和は人類共通の願いであることを誓い合い1983年3月「非核平和年宣言」を制定した。高槻市は全国の非核平和宣言都市と連携し、核保有国による核実験にその都度中止を要請し抗議してきた。
     「戦争と殺戮の20世紀から平和と共存の21世紀へ」の人類の願いにもかかわらず、今もなお戦争や軍事紛争が繰り返され数多くの尊い命が奪われている。しかもその被害の多くは無抵抗な市民である。
     高槻市も第2次世界大戦では、高槻地下倉庫(タチソ)など疎開地下工場を標的とした爆弾投下のほか、軍事施設を目標とした空襲や市民の居住地域無差別爆撃を経験している。
     わたしたちは、「全世界の国民がひとしく恐怖と欠乏から免れ」国際紛争の原因が除去されることを願うとともに、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼してわれらの安全と生存を保持」することを宣言した世界に誇るべき日本国憲法を持っている。しかし現実は軍隊の実体を備えるにいたった自衛隊がイラクに派兵されるまでに至っている。
     わたしたちは非武装を謳った憲法第9条を高槻の地から実現し、戦争につながる全てのものを排してこの高槻を戦争非協力の町とし、市民誰もが平和と安全のうちに暮らせる町とすることを決意した。
     世界の自治体がこぞって戦場となることを拒否したときなんびとも戦争を起こせなくなる。高槻市は、市民の命と平和、暮らしと財産の安全を守る責務を自覚し世界に先駆けて、ここに「高槻市無防備・平和都市条例」を制定する。

  • 第1条 (目的)
    本条例は、国際平和を誠実に希求し、戦争と武力を永久に放棄するとした日本国憲法の平和主義の理念、政府の掲げる非核三原則、ジュネーブ条約等の国際人道法、ならびに本市の「非核平和都市宣言」に基づき、戦争の危機が迫った時には、国内外にむけて「無防備地域宣言」を行う旨を明らかにし、もって自治体の責務である、市民の平和と安全を保障することを目的とする。


  • 第2条 (市民の平和的生存権)
    1. 高槻市民は、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
    2. 高槻市民は、その意に反し、戦時のみならず平時においても、軍事を目的とした市民権の制約や財産権の侵害、自然環境の破壊を受けることはない。


  • 第3条 (無防備地域宣言)
    1. 高槻市は、戦時あるいはその恐れが明白な時、1977年の「1949年8月12日のジュネーブ条約に追加される国際的武力紛争の犠牲者の保護に関する議定書」(ジュネーブ条約第1追加議定書)第59条による無防備地域宣言を日本国政府及び当事国に通告する。
    2. 高槻市は、平時から前項の議定書に定める無防備地域の条件を満たすように努める。
    3. 無防備地域の条件とは次のとおりである。
        (1)すべての戦闘員ならびに移動兵器及び移動軍用施設が撤去されていること。
        (2)固定した軍用の施設又は営造物が敵対目的に使用されていないこと。
        (3)当局又は住民により敵対行為が行われていないこと。
        (4)軍事行動を支援する活動が行われていないこと。


  • 第4条 (市の責務)
    1. 高槻市は、戦争に関する事務を行わない。
    2. 高槻市は、あらゆる軍事施設の建設を認めない。
    3. 高槻市は、ジュネーブ条約第1追加議定書の普及に努める。


  • 第5条 (平和事業の推進)
    高槻市は平和を推進するために次の事業を行う。
    1. 平和、歴史教育の推進
    2. 平和祈念事業の推進や平和記念物の保存、展示及び建造
    3. 平和のための他の地方公共団体との協力
    4. 平和のための国際交流事業
    5. 市民が自ら行う平和のための事業に対する必要な援助及び助成
    6. その他条例の趣旨に沿う平和のための事業


  • 第6条 (平和予算の計上)
      高槻市は、平和事業に必要な予算を毎年計上するものとする。


  • 第7条 (条例の施行細則)
      本条例の施行に必要な事項は、規則で定める。


  • 付則
    1. 本条例は、公布の日から施行する。
    2. 本条例は公布後速やかに、翻訳文をつけて、国際連合事務局、国際連合加盟国、その他の国に送付する。

投稿者 高槻市無防備地域宣言を実現する会 : 17:19